Monologue

    

 ――あの頃の俺は、文字どおりに「なんとなく」生きていた。

それなりの今日とそこそこの明日さえあれば、時間とか関係なく過ごしていた。

 でも、あの出会いから、変わったような気がする。

  

「あの・・・」

 廊下側の窓にもたれてた俺に、一人の女子がは話しかけたきた。ぱっと見はけっこう かわいい。

「なにかな?」

 俺はしゃきっと起き上がって背筋を伸ばす。

「あの、これ・・・」

 そう言ってピンクっぽい色の封筒を差し出す。ををっ!俺にもついに春の到来?!

「これ・・・あそこの教卓に座ってるヒトにわたしてくださいっ!!」

ごっしゃぁぁぁぁっ!

 ・・・な・・・なんつーお約束な・・・

「あ・・・あの・・・だいじょぶですか?」

「え?あ、うん。アイツに渡しときゃいいのね」

 引きつった笑いを浮かべつつ、なんとか引き受ける。

「はい!お願いします!」

 にっこり笑って走り去っていく。・・・うーん、なんだかなぁ?

「おーい、浮谷ー、お前にラブレターだぞー」

 ワザと大き目の声で呼ぶ。

どげしっ!!

「んなハズイこと叫ぶなっ!」

 おもいっきし殴られる。ったく、踏んだり蹴ったりってな、この事だな。

「それはそーと、おまえさん、文化祭どーする?」

 当の浮谷が聞いてくる。

「あー?また屋上あたりでゴロゴロしてるに決まってるだろ?」

「だよなー。やっぱ野郎ばっかだとそーなるよなぁ」

「いーじゃねーか、お前は。さっきの娘と楽しく過ごしゃ」

「俺は当人の顔見てねーんだよっ!」

 あーあ、本気で文化祭どうすっかなぁ?

  

 文化祭当日。予告どうり、というか、去年とほぼ同じ面子が屋上に集まってカード麻雀

やらトランプ(ポーカーにブラックジャックに株)やら、賭けUNOに興じている。

 今年はノートパソコンとコードリール持参でパソゲーやってる奴まで現れる始末だ。

「そーいや、浮谷はどーした?」

「体育館」

「なんでまた、んなとこに?」

「こないだの娘の手紙、あの娘が出るライブのベースやってた奴が事故ったらしくてな、

代役に浮谷使いたいって内容だったらしくって、今代わりに弾いてるぞ」

「ふーん」

 しかし、さすがにぼーっとしててもハラは減る。俺は飯を食いに下の模擬店へと繰り出

した。

 すぐ下の3階は1年のクラスが多いせいか、あまりたいした出店がない。食べ物の類は

中庭で3年生がやってるのでそっちに向かう。その途中、ふと、階段脇の物理室に目が止

まった。

「ホラー喫茶・・・?また悪趣味な・・・」

 とは言いつつも、好奇心と恐いもの見たさに負けて、思わず入ってしまった。

「いらっしゃいませぇ〜」

 入ってみると、何のことはない、暗幕で薄暗くして、ウェイトレスの娘が猫娘の耳を

つけてる以外は至って普通の作りである。

「じゃ、コーラとヤキソバ」

「は〜い」

 さすがに定番メニューなだけあってか、すぐに出てくる。案外とうまい。

「ごっつぉーさーん」

 テーブルに350円を置いて物理室を出る。と、ライブを終えた浮谷と鉢合わせした。

「お前、いまどっからでてきた?!」

「どっから、って、そこのサ店になってる物理し・・・つ?!」

 確かに物理室だ。ただし、入ったときのような飾りの類がない。

「サ店って・・・物理室って、荷物置き場だぞ」

 じゃ・・・、俺の食ったヤキソバは一体?!

   

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