LIVING DAYLIGHT

 TWO-MIX――主に音楽用語。各パート別に録音、サンプリングした音を統一し、一つの音楽

として束ねること。もしくはその過程。

 高山みなみ――本名同じ。1992年に若干21歳で声優デビュー同年、CD「ENDLESS

COMMUNICATION」をリリース。’95年には永野椎菜と共に「TWO-MIX」としてのデビューSCD

「JUST COMMUNICATION」をリリースし、以後声優とアーティストの二つの顔をもつ。

 永野椎菜――本名同じ。モデル業から一転、作詞家への道に踏み出した直後、音楽

関係の仕事をしていた知人を通し、当時趣味で作曲をしていたみなみと知り合う。

数年間はインディーズでライブを中心に活動し、'95年にTWO-MIXとしてデビュー。同年

最優秀新人賞にノミネート。みごとグランプリを獲得した

 そして、TWO-MIX発足4年目に独立。新事務所「LITTLE STATION」を新設した。

   

「・・・っていうのが、大体の流れなんだけど・・・なんかまだ納得してないね、姉さん」

 高山美瑠――本名同じ。「LITTLE STATION」在籍アーティスト第1号。みなみの実の

従姉妹である。昔からみなみを実の姉のように慕っていたため、未だに彼女を『姉』と

呼び親しんでいる。

「んー・・・。やっぱり覚えてないことばっかしだからねぇ」

 そうなのだ。みなみは今極度の記憶喪失に陥っていた。特に永野椎菜という人物と、TWO-MIX

というバンドのことをほとんど忘れているのだ。

 ――「記憶喪失」と一口に言っても、それには2つのパターンがある。

「一つは良くある、脳への物理的障害による記憶障害。もう一つ――これが高山さんの今回の

場合なんですが――精神的ショックによる自衛としての記憶喪失です」

 往診に回ってきた医者は、そう言っていた。つまり、精神的な苦痛を引き起こすような記憶を

無意識に忘れようとしているのだ。こういった状況では、むしろ精神科にまわされることが多い。

「だからって、毎日毎日催眠療法ばっかしってのも、問題なんじゃない?」

「そうかもしれませんけどねぇ・・・。何分、有効な治療法がそれしかないもので・・・」

 花瓶の水を変えようとしていた看護婦が困ったようにそうなだめた。

 ――ともあれ、暫くは「TWO-MIXは事故による骨折で入院中。ラジオなどのレギュラーは

高山美瑠が代打に出る」という情報で押し通さなければならない。

 TWO-MIXの記憶を持たないみなみもそうだが、何よりも椎菜がまだ通常の生活さえできなくなって

いるのだ。何故なら・・・。

to be continued...