Mission-2:CHAIN METAL

 清々しい朝。建物はボロいが差し込む真っ白な朝日が暖かい。俺はもそもそとベッドから

起きると、寝室からダイニングへのドアを開けた。

「お、ケイトおはよう」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」  

 俺は爽やかな朝に似合うような笑顔のまま、その人の台所のトーストとコーヒーを啜ってる

そいつに向けて手近にあったリボルバーをぶっ放した。

  

  くあぁぁぁぁんっ

   

「・・・人間あいてにしちゃいい音したな、えらく」

「って、いきなり撃つかぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

「ええいっ!うるさい!大体なんでお前がヒトんちで、しかも朝食後のコーヒー飲んでんだ、

コラ!!」

「そこはほら、『勝手知ったる他人の家』って」

「それこそやかましいわボケがぁぁぁっ!!!」

     

「まぁったく油断も隙もねぇな、お前は」

「誉めるなよ、照れるじゃねぇか」

「誉めてない!!断じて!!!」

「でさ、ケイト。実はすごくいい話が・・・」

「断る!!!」

 ヤツ――レオと名乗る、怪しいイタリアン――の持ってくる『話』ってのは大抵、いや9割8分

が死の恐怖を骨の髄まで味わう、ヤバイ仕事の話ばかりだ。それでなくてもレオのおかげ

で渡らんでいいよーな危険までオマケでついてくる。

 俺はそのおかげで何度死に掛けたことか・・・・・・。

「いいじゃないケイト。引き受けてあげなさいよぉ」

 その声に、俺とレオは凍り付いた。レオといい、この人といい、鍵を4つも付けてるのに平気

な顔して入って来る。不法侵入もいい所だが、億尾にもそんなことは言えない。

「ヤ・・・・・・ヤン・・・さん」

 真っ青な顔してレオがドアの方を振り向いた。

「はぁい。朝っぱらから元気ね〜。あんたら」

「き・・・今日はどんな御用で・・・」

 俺は作り笑いを浮かべると、なんとかそれだけ言った。この「ヤンさん」こと揚 遥桜(ヤン 

ヨウロウ)女史。実はこの人がレオの持ってくる「儲け話」の根元・・・もとい、クライアント

だったりするのだ。

「ん、今回はあなたにレオのサポートをお願いしたいの」

「今回『は』ぁ?今回『も』の間違いでしょ?」

「へ?だって、ここ最近レオ一人で間に合うよーな事しか頼んでないけど?」

 と、意外そうな顔でヤンさんが聞き返した。

「・・・・・・レオ」

 その言葉を聞いて俺はレオを半眼で睨み付けると、奴は明後日の方に目を逸らした。

「・・・そーか、ここ最近どーも内容と払いが釣り合わんと思ったら・・・」

 ゆらり、と俺は椅子から立ちあがってレオの方に詰め寄った。

「いやっ!その・・・とにかく落ち着け!な、ケイト!!」

「やかましいわこのうすらたわけがぁぁぁぁぁぁっっ!!」

    

「・・・・・・はぁ・・・」

「どした?ケイト」

「俺ってどーしてこんなに不幸なんだろ・・・」

「不幸って・・・」

「言っとくが本気だからな」

 そんな愚痴をこぼしつつも、俺は防犯装置のプログラムに偽コードを送信する。

「・・・・・・よし、これで鳴らないはずだ」

「O.K.」

 しゃきんっ、とレオがアサルトライフルを構える。

「・・・・・・つくづく物騒なモン持ってくるよなぁ、お前」

「何いってんの。ケイトが居てくれるからこそ俺がオフェンスに徹してられる・・・・」

「徹せんでいい!!!」

 ・・・・・・あ。

「・・・・・・あ?」

 ウィーン、ウィーン、という警告音が響き始める。

「・・・・・・音声センサ・・・切ってなかった・・・」

 2分後、予想どうり俺とレオはセキュリティの連中にひたすら追い掛け回される羽目

になったのだった。

  

「ハァ・・・、ハァ・・・」

「ひ・・・ヒデェ目に・・・合った・・・」

 必死の逃避行の甲斐あってか、なんとか俺達は逃げ切ったのだった。

「こ・・・今回は・・・ハァ・・・お前の責任だかんな・・・」

「か・・・ハァ・・・カンベンしてくれ・・・頼むから・・・ハァ・・・」

「・・・で、命からがら逃げてきたって?」

 冷たい声でヤンさんが言う。

「いや・・・まぁ、そーなんだけど・・・なぁ?」

「今回は・・・俺の責任だから・・・。その・・・」

「・・・まぁ、あなたたちに死なれることから考えたらまだマシかもね」

 諦めなのか安堵なのか、ふうっ、と大きなため息を吐いた。

「うん・・・。ヤンさんごめん・・・」

「いいのよ。それに・・・」

「それに?」

「今回は『内部撹乱』が目的だったんだからあれで十分。でしょ?」

 レオがそう言ってヤンさんに微笑む。

「なっ・・・・・・?!」

「だって、仕事の内容ほとんどきかねーんだもん、ケイト」

「なんじゃそりゃぁぁぁぁぁっ!!」

 俺の絶叫がむなしく響いていった・・・・・・。

    

To Be Continued......